産休・育休を取得した社員に仕事と育児の両立のために工夫をしていること、両立支援を図るためにどんな制度が必要か、などを語り合ってもらいました。
「自分は本当に仕事と育児を両立できているのか?」と自問自答する場面も見られ、仕事と育児に日々奮闘するパパ・ママの本音トークのクロストークとなりました。
伊藤さん
2011年入社
生物工学研究室(バイオ系研究職)
工学研究科 修了
松村さん
2008年入社
包装容器開発室(食品開発職)
水産科学院水産学部 修了
古池さん
2011年入社
人事企画室(事務職)
法学部法律学科 卒業
岸本さん
2018年入社
業務用3課(食品営業職)
水産科学院海洋応用生命科学 修了
QUESTION 01
岸本業務用3課に所属し、北関東エリアの業務用食材問屋の営業担当をしています。担当エリアは主に埼玉県と茨城県の一部です。問屋の仕入れやセールスに対して展示会・試食会・同行販売などを通じ、ヤマサ醤油製品の提案を行っています。
松村包装容器開発室という部署で、商品の包装容器に関する開発業務をしています。第一子の時は、中味液の開発をしていました。第二子を産んで復帰してから、今の仕事に携わってます。
伊藤生物工学研究室で医薬品や化粧品原料の研究開発をしています。入社してから子どもを2人産んで復帰した後も同じ部署です。現在は修飾核酸の製法検討を実施しています。実験室レベルでの小さいスケールから検討を開始し、実製造スケールでの試験までを行っています。
古池人事企画室という部署に所属しています。採用・研修などの業務をはじめ、従業員の勤怠管理・給与計算や、就業規則等の管理・改定など、人事業務全般を担当しています。今回のテーマである、両立支援制度の窓口業務も担当しています。従業員のみなさんが高いパフォーマンスを発揮できるように整える、縁の下の力持ちのような仕事です。
QUESTION 02
伊藤直属の上司には、産休を取得する5か月前くらいには伝えました。つわりが重く、年休が多くなっていたので、妊娠と一緒に産休・育休についても相談しました。
岸本私は1人目と2人目の子どもの時は取得しなかったんです。3人目の子どもが産まれた時に育休を取得しました。当時、1人目は3歳で幼稚園入園前、2人目は生まれたばかりで妻1人での育児はハードだろうとの3人目の出産予定日の約3か月前に会社に伝えました。まず直属の上司に取得の意向を伝え、その後、人事企画室に取得方法等を相談しながら進めて。古池さんにはお世話になりました。
古池そうでしたね。育休の他に出生時育児休業という新しく制度ができた時ですね。どの制度を活用したら、より岸本さんにとってメリットになるかなど、色々相談しましたよね。
伊藤岸本さんはどれくらいの期間を取得したんですか?
岸本2ヶ月半ぐらいですね。
伊藤それは助かりますね。
岸本本当は2ヶ月で復帰予定だったんですけど、復帰直前に妻が体調を崩してしまいまして。それで、古池さんや人事企画室の方に「延長できないか」と相談して、2週間伸ばしてもらいました。
松村奥様、大変でしたね…。
岸本あ、ちょっと余談ですけど、この育休中に上の2人の子と、実家の札幌に帰ったりしました。妻と1番下の子は家に残って。
伊藤それは素敵な時間ですね。
古池育休を取っていると、その対象の子だけの面倒をみるイメージですが、上の子たちの心をサポートすることも大切ですよね。では、松村さんはいつごろ休暇の取得を伝えましたか?
松村すみません。上の子は13年前なのでまったく覚えていません(笑)。下の子の時も覚えておらず…(笑)。早めに上司に伝えた気がします。
古池なるほど・・・(笑)。私は次男が産まれる際に出生時育児休業を取得しました。本来は妻が安定期に入ってから伝えようと思っていたのですが、妻のつわりがひどくて、妻と長男のフォローで出社が難しくなったため、在宅勤務などで柔軟に対応すべく、上長には早めに状況を伝えました。ちょうど私が両立支援制度の業務に携わっていたので、部署のメンバーには妻が安定期に入ったタイミングで伝え、通常の従業員の方と同様に対応することができるか、いわばテストケースというか、研修のような形で進めていきました。
QUESTION 03
松村業務の引継ぎをスムーズに進めることを心掛けました。
岸本育休中は自分の仕事を同じ部署の他の方に依頼するため、進行中の案件については得意先ごとに進捗やこれから行うことなどをリスト化し、部署に共有しました。また製品の値上げの時期が重なっていたため、値上げの見積もりは育休に入る前日まで可能な限り得意先に提出していました。あ、あと社用の携帯電話を上司に預けました。
松村携帯電話を預けるって、いいですね!
岸本どうしても自分じゃなきゃ分からないことが発生した場合は連絡をもらうという形にしてもらいました。
古池岸本さんはしっかり引継ぎ書類も作っていましたし、休みの取り方も制度の範囲内で、最大限有効に活用してくれました。他の方が取得する時に、事例としてお話しできる、モデルケースとなってくれたと思います。伊藤さんはどうでしたか?
伊藤私は今の仕事をどこまで行うかを上司と相談して、なるべくキリが良いところで終わるようにしました。報告書をまとめ、引き継いでくださった方や関係部署にはそれまでの結果について詳しく情報を残すように心掛けました。一方で実務的な引継ぎは、なるべく簡潔にA4一枚程度にまとめるようにしました。あと、意外と大事かなと考えているのが、生データや手順書などの各種ファイルをきちんと整理しておくこと。他人のフォルダの中を探すのは面倒だと思うので、誰が探しても目的のファイルがすぐに見つけられるようにしたつもりです。
松村素晴らしい!
古池私はそもそも会社の仕事は、自分の仕事というより、会社から預かっている仕事だと考えているんです。だから、私が不在でも業務が滞りなく進められるように、最善を尽くすことが理想ですし、そのようにありたいと考えています。出生時育児休業の取得前には、あらかじめ業務のどの部分を誰に引き継ぐか、上司と相談しながら引き継ぎ内容とスケジュール表を作成していきました。私の場合、特に採用業務は多方面に影響するので、採用チームのメンバーには早めに伝え、採用活動に支障が出ないように注意して行動したことを覚えています。また、復帰後すぐに新入社員研修が控えていたので、こちらも休業前に早めにスケジュールを固め、関係部署に対応してもらえるようにしました。その他の事務的な業務については、フォルダの整理の他、どの業務がどのフォルダ・ファイルに関連しているか、ショートカットがわかるような一覧表を所属部署に共有し、そこから関連フォルダ・ファイルにアクセスできるような仕組みにしておきました。この作業は業務標準化の意味で、部署のメンバー全員にもやってもらいました。とにかく、両立支援担当として、模範となるようなお休みの取り方をしなくてはならないと、部署からのプレッシャーはかなりありましたね。
伊藤古池さんのショートカットの話を聞いて思ったんですけど、ここを見ればすぐ過去の試験が見れるよとか、いいですよね。新入社員はもちろん、みんなにとっても便利なんですよね。
松村私は産休、育休に入る前は開発職のノウハウは自分のスキルや自分の価値として持っていたいっていうのがあったんですけど、産休、育休に入ったらそんなの意味がないって気付いて。みんなが出来るようにしていかないと自分も困るし、自分のスキルとして大事にしてても、良いことないなって思ったんです。古池さんが言うように会社から預かった仕事をみんなで分かるようにしていこうという意識が大事ですよね。
岸本それは部署のリスク管理にも繋がりますもんね。
伊藤ひいては会社全体にも。
古池私が入社した時は「その人しか出来ない仕事があることが一流だ」みたいな風潮が結構あったんですよ。でも、今はそういう時代じゃないですよね。どちらかというと、その人自体のスキルはすごいけど、その人がお休み入った時に、他の方がそれなりに仕事がこなせるような引継ぎができる人の評価が上がると良いなって、最近ちょっと思っています。
QUESTION 04
伊藤工夫していることは特にありません。二人目の育児休業から復帰したところで、工夫する余裕がなく、子育てと仕事に毎日追われているというのが実情です。
松村両立っていわれるとね。共に立ってません、もう倒れているっていう(笑)。
伊藤はい。本当に。
古池確かに私もぐらついてる感じはあるんですけど(笑)。
伊藤どうしたら両立って言えるんですか?
古池うーん、私も正直なところ、両立対策というほど誇れるような工夫はしていませんが、例えば幼稚園で風邪が流行り出す時期など、いつ何があっても良いように、業務の進捗状況は常日頃、部署・チーム内で共有することを意識しています。あと、夫婦共働きなので、妻の仕事の状況も踏まえて業務内容を組み立てるなど、家族や会社も含めたチーム全体で動いていくようなイメージで日々業務にあたっています。それと、家族の前では仕事の愚痴は言わないと決めています。子どもに、パパと一緒に仕事がしたいと言ってもらえることが理想だと思っています。
伊藤えらーい!
岸本素晴らしい!
古池岸本さんはどうですか?
岸本古池さんとちょっと近いところはあるんですけど、子どもの状況に合わせて仕事を調整しています。子どもたちが幼稚園で風邪をもらってくるなど体調を崩すことが多くて、そうすると妻の負担が大きくなるため、極力残業せず定時で帰宅したり、得意先から直帰したりするようにしています。たまった仕事は子どもの体調が良いときにまとめて残業して片付けるなど、メリハリをつけるようにしています。
伊藤素晴らしい!
岸本私も古池さんと同じく、基本的に家では仕事の話はせず、極力、家で仕事はしません。休日はパソコンを開かずに子どもとの時間を最大限作るようにしています。
松村すごいね
岸本自分で言うのもなんですけど、子どもはパパっ子で(笑)。毎日、「今日何時に帰ってくるの?」って。
伊藤そんなこと言われたら早く帰らなきゃってなりますよね
岸本家をガチャって開けると走って来てくれるんです。それがめちゃくちゃ嬉しいです。あ、話が逸れてすみません。
伊藤両立の工夫ですよね。私は隣町に実家があるので、どうしてもという時は預かりをお願いしたりしています。でも、両親も働いているので、大変そうで…。
松村うちは私も夫も実家が遠方なので、親に頼るのはムリなんです。なので、夫婦で何とかしています。子どもが熱を出したら、夫に「今日の午後はどう?迎えに行ける?」とか。
伊藤あとは予定表アプリですね。家族でスケジュールの共有をしています。社内アプリにも、運動会とか行事の日程を入れて、この日は会議を入れないでください、と遠回しにアピールしています(笑)。
QUESTION 05
古池子どもの体調不良などで出社が難しい場合は急なお休みや在宅勤務での対応を余儀なくされますが、その場合にも部署・チームのメンバーがサポートしてくれます。私も他の方が同様の状況になった場合には、可能な限りサポートし、業務に支障がでないよう最善を尽くすことは日々意識しています。そういった意識が部署・チーム内で醸成されていますので、環境的には非常に恵まれていると感じています。
岸本家庭の状況に合わせて当日の在宅勤務もできるなど、ある程度柔軟に対応してもらっているので、良い環境であると感じています。あと、上司自身が休みを上手に取得していて、私にも「なんで休みとらないの?」と声を掛けてくれるので、年休をとることに何の抵抗もないという環境を作ってくれています。
伊藤いいですね!うちの上司も産休育休については理解を示して下さり、スムーズに取得ができたので感謝しています。また、同僚や若い社員の方は、産前から復帰後の時短勤務についても色々と気を遣って心配の声をかけてくださることが多くありがたいです。でも、研究開発職は実験が終わるまで帰れない(培養実験などを途中で止められない)ですし、子どもの体調不良等で急に休むことになった場合は前日までの実験が全て無駄になるといった事が多々あるので、難しさを感じています。一方で、急なお休みとなっても、自分の仕事が進まなくなるだけで、代わりの誰かに業務をお願いして迷惑をかけるということは少ないと思います。
松村この10年ほどで育休取得者や短時間勤務の人が増えているため、職場環境はだいぶ良くなっていると思います。
QUESTION 06
松村すでに導入されていますが、時間単位で取得できる年休はとてもありがたいです。
古池時間単位年休は便利ですよね。1時間単位で最大16時間取得できる制度ですが、子どもの慣らし保育の期間などは、時間単位年休や在宅勤務を組み合わせて業務を行っていました。たとえば保育園の送迎のために時間単位で年休を取得したり、子供を病院に連れて行くために在宅勤務と時間単位年休を組み合わせたり、制度の範囲内でも柔軟な対応が取れるような体制であると感じています。
伊藤私、子どもの病院とかでコマ切れでめちゃくちゃ活用しています。
岸本私、まだ取得したことないです。
松村30分単位で取れると、より嬉しいのですが(笑)。
古池あと、あまり意識していなかったのですが、特別休暇(配偶者出産休暇)はけっこう良い制度だと思います。配偶者の出産に際しては、出産の前日から2週間の期間に、年次有給休暇とは別に2日、有給でお休みをもらえます。例えば、出産の日と、退院の日に取得するなど、人によって取得日は様々です。
岸本私はあったらいいなと思う制度はフレックスタイム制です。子どもの体調不良時はもちろん、園の行事に合わせた出社時間の調整が可能になると、今まで以上に育児と仕事の両立を図ることが可能かと思います。
伊藤同感です。現在、時短勤務を利用している人は多いですが、取得する最たる理由は子どもの保育所などへの朝の送り時間の確保ではないでしょうか。夕方は延長保育制度が多くの施設で実施されているので融通がきくようですが、保育所によって状況は異なります。フレックスタイム制の導入でより柔軟な働き方ができれば、さらに家庭と仕事の両立が進むのではないかと考えます。
古池現状、勤務時間を30分から1時間前後にずらすことができる育児時差出勤の制度はありますが、日によって異なる出社時間で対応できるような制度の設計は、今後の課題ですね。
伊藤それと、常々思っていることがあって。
古池意見を吸い上げていきたいと思っているので遠慮せず話してください。
伊藤子育てですごく大変な期間は復帰明けから就学前の数年の場合が多いと思います。その大変な時期をなんとか我慢してしまうとそれで無かったことになってしまい、問題の本質が解決しないまま残ってしまうのではないでしょうか。今後また次の世代が、より家庭と仕事を両立しやすくなる環境にシフトしていってほしいと願っています。また、男性社員への両立支援をより拡充させることで女性だけでなく男性側のライフワークバランスが進めば、共働きが多くなっている時代で『パパが働きやすい会社』としてママからの支持も受けられ、企業価値の向上に繋がるのではないかと期待しています。
古池本当にそうですね。いい宿題をもらいました。上司にも伝えておきます。
QUESTION 07
岸本両立は難しいテーマ、永遠のテーマだと思いますね。後輩たちのためにも両立できるような環境作りとか、制度の改革とかより良くなっていくように協力できる部分はしていきたいなと思っています。仕事では得意先との信頼を築き、売り上げを伸ばし、業務用営業担当の一員としてより一層社内社外から信頼してもらえるような営業担当になることが目標です。
松村私はいろいろな仕事を楽しみながらやっていきたいです。自分が無理をしないことが皆にとって一番よし。会社にとっても、体にとっても。なんか、楽しく、無理なくやるという目標です(笑)。
伊藤素晴らしい!次の世代の人たちを考えたら、無理して頑張ったケースを作るのは良くないなって思います。今の私はバタバタと走って出社して、余裕がなくて、そういうのは良くないと思うんですよね。楽しんでやるっていうのを次の人達のためにもちょっと心掛けます。
古池私は従業員の皆さんが、よりパフォーマンスを上げていけるような環境整備ができるよう、制度面でもサポートできるようにしていきたいと考えています。そのためにも皆さんの声に耳を傾けつつ、従業員・会社の双方がWinWinになれるような橋渡し役になれればと思っています。今日のクロストークでもらった宿題も経営層にちゃんと伝えたいと思います。
松村期待しております(笑)。