薬剤師の資格を持つ社員に就職活動やヤマサへの入社動機、現在の仕事内容などを語り合ってもらいました。病院や調剤薬局ではなく、なぜ企業を就職先として選んだのかなど、それぞれの意見に驚いたり笑ったり、和やかなクロストークとなりました。
土井さん
2020年入社
生物工学研究室 バイオ系研究職
大学院薬学研究科 薬学専攻 修了
近行さん
2020年入社
合成技術開発室 合成系研究職
大学院薬学研究科 薬学専攻 修了
水野さん
2007年入社
品質保証部 薬事室 医薬品品質管理・品質保証職
大学院薬学研究科 薬学専攻 修了
松永さん
2009年入社
製造第一課 医薬品製造
大学院薬学研究科 薬学専攻 修了
QUESTION 01
水野研究職に携わりたいと思って、就職活動では主に製薬企業、食品メーカーを中心に回りました。病院や調剤薬局よりも企業に就職したほうが、いろいろなことが経験出来ると思ったからです。
松永私は大学院時代に有機合成を専攻していたのでその知識を活かせる仕事に就きたいと思っていました。その中でも特に医薬品に関わることができる会社を受けていました。
近行私は6年制の薬学部に通っていましたので、本来であれば薬剤師免許を取得して、薬局や病院に就職するっていうのがメインになると思っていました。ですが 、4年生の時に研究室に配属になり、モノづくりの楽しさを知りまし た。また、病院実習の時に患者に「この薬は安全ですか」と聞かれ、その時は知識としては安全だと知っていたものの、自分自身が保証できないことに気が付き、作り手側として安全な薬を提供していきたいという思いが大きくなりました。 そのため、薬を使う患者様のことを第一に考えてモノづくりをしている企業を選択するようにしました。
土井私も近行さんと同じです。大学で研究の面白さを実感すると同時に、研究成果を世の中に活かしたいと思うようになりました。また、モノづくりにも興味があったので、メーカーの研究職を中心に就職活動をしていました。薬剤師という職業は間違いが起こらないように管理する仕事であり、モノづくりとは方向性が全く違う仕事だと思います。私は薬剤師の仕事も好きですが、自分にとって、より挑戦的なことを目指したいと研究職を志望しました。
QUESTION 02
松永大学時代の恩師より「ヤマサ醤油は有機合成もやっている」と聞き、エントリーをしました。学生時代の専門分野とヤマサ醤油での研究分野は異なっていましたが、内定をもらえました。それと、内定が出たのがヤマサ醤油が一番早かったんです。面接が終わって翌々日には人事の方から電話がかかってきて、「どうする?」みたいな(笑)。フレンドリーで印象が良かったというのがあります。
近行私は博士課程を卒業して、半年間ポスドクとして大学にいたので大学の就職も考えていたのですが、大学の研究よりも患者さんに 近い製薬業界で働く方が自分には合っているんじゃないかと考えました。ヤマサ醤油を選んだ理由としては、醤油という安定した基盤があることが大きいですね。 それと、安定に甘んじず新たな価値を見出していこうという姿勢にも惹かれました。
土井水野さんは決めてはいましたか?
水野えーと。決めませんでした(笑)私の時代は就活氷河期で、ヤマサ醤油から最初に内定をもらえたのが一番の理由です。あ、でも、大学の教授から「醤油がなくなることはない」と企業としての安定性をアドバイスされたことは大きいですね。
土井私は業界を絞らず様々なメーカーの説明会に参加していましたが、その中で自分の興味が食と医薬であることを実感し、両方を扱っている企業の一つとしてヤマサ醤油を志望しました。また、ヤマサ醤油の医薬事業が醤油の発酵技術から派生したものと知り、大学での研究テーマが微生物生産であったことから、興味を持って志望しました。
QUESTION 03
水野私は品質保証部の薬事室に在籍しています。書類の作成や各種法令の調査を主にしています。
松永私は製造第一課で医薬品原薬の製造管理をしています。化学・科学的な知識のほかにGMP(Good Manufacturing Practice)に関する知識が必要となりますが、学生時代に得た知識、働きながら得た知識、研修・勉強会等で得た知識を活用して仕事をしています。
近行私は医薬・化成品事業部の合成技術開発室で医薬品原薬およびその中間体の製法開発を行っています。また、研究室と製造現場の間を取り持つような“プロセス開発”と言われていることをやっています。研究室から上がってきたレシピをもとに、どうすれば製造レベルまで安全にスケールアップできるかを検討するお仕事です。
土井結構、学生時代と全然違うことをやっていますが…。
近行そうですね。学生時代はバリバリの有機化学をやって、基礎研究をやっていたのですが、実はテーマとしてはプロセスに近い研究テーマもやっていました。カラムクロマトグラフィーを行わずに 精製する方法や、医薬品原薬の効率的な製法を研究していたので、まったく関連がなかったわけではないんです。なので、今の部署に配属 されてよかったと思います。
土井見ていて楽しそうだなぁと思って。今の仕事は合っているんじゃないのかなと思っていました。
近行楽しいです。
3人お~(笑)
土井私は生物工学研究室に所属していて、ヌクレオチドの新規機能性探索研究をメインでやっています。それと、mRNA 原料の品質管理方法の構築を主に担当しており、必要に応じて製造部門の支援業務も実施しています。
QUESTION 04
近行去年の出来事なのですが、中規模のパイロットスケール試験で反応が暴走した時です。小スケールの試験では特に問題がなかったので、まったく予見できておらず…。幸い事故にはなりませんでしたが、開発の難しさを再認識させられました。もっともっと潜在的リスクなどを探っていくのが非常に重要だと改めて感じました。
土井やっぱりスケールが大きい場合だと、開発の段階では怖いですよね。
近行実際にスケールをあげてみないと分からない現象なので、製造で起こらなくてよかったと思いますね。
土井そうですね。松永さんはどんなエピソードがありますか?
松永私は入社2~3年の研究室にいる頃に医薬関連の若手が集まって、若手勉強会を開催して新規事業について熱く討論したことですね。夕方にみんなで集まって、ブレーンストーミングから始まり、新規事業を考えたり、過去の事業の洗い直しをしたり。最終的に新規事業は不採用となりましたが、良い経験になりました。
近行最終的には不採用になっていますが、新規事業を起こそうとしたというのはかなり大きなことですよね。 やはり0と1とでは だいぶ違うので。
松永一通りのプロセスをみんなで考えてやってみたということと、なんか青春じゃないですけど、その当時はみんな熱くなりまして(笑)。その経験を社会人になってから仕事に向けてできたのが良かったんじゃないかと思います。
土井水野さんはどんなエピソードがありますか?
水野私は以前配属していた診断薬の工場時代に他社製品の承継を見据えた受託に立ち会えたことです。他社が求める容器の形が自社とは違うので、現場の方々と相談しながら、容器に充填する設備の改良工事をしたり。輸送費削減のために輸送業者を何十社も探して、法的要件を満たしているか確認したり…。いい思い出というか、やり切ったな…という思い出になっています。
土井私は入社1~2年目で担当した開発業務で、ある化合物の製法の GMP 化検討が印象に残っています。大学で GMP については学んでいましたが、実務として対応するためにはどのような検討をすればよいのか?何が求められているか?など、分からないことだらけでパンクしそうになっていたのを思い出します。周りの人に助けられながら、考え方を学びつつ何とか対応できたことは、その後の仕事の中でも役立つ良い経験になっています。その時に、松永さんにすごく助けてもらいましたよね。成分測定とかで(笑)。
松永そうだね(笑)
土井松永さんとは誰だろうと思いながら、「松永さんて方はいますか?」みたいな感じでした(笑)。
水野新入社員が他部署に行く時はだいぶ緊張するよね。
土井はい。敷地内で迷子になって、先輩に教えてもらったり。いろいろ思い出が詰まっています(笑)
QUESTION 05
水野薬事室は、行き詰ったり、悩んだりした時に相談できる職場で風通しがよいと思います。
土井製造第一課は研究室とは人員構成も大きく異なりますが、雰囲気はどうですか?
松永製造第一課の職場は雰囲気がいいですよ。仕事上でわからないことがあったら気軽に相談できる職場です。我が家に子供が生まれた時は同僚に仕事をフォローしてもらいながら出生時育児休業を取得し、短い期間ではありますが育児に専念できました。
近行合成技術開発室は20~30代の方が比較的多いです。少数精鋭で忙しい職場ですが、同僚や上司とも気軽に相談や議論ができる環境で、基本的にはかなり和やかな雰囲気で仕事をしています。
土井生物工学研究室は個人で受け持つ仕事が多いため、基本的には各々で黙々と実験していますが、行き詰ったときやアドバイスをもらいたい時は室員同士でよくディスカッションしています。他部署からは落ち着いている人が多い印象を持たれると思いますが、研究に対してはみんな熱い想いを持っている職場です。
QUESTION 06
水野薬剤師としての将来像かどうかは分からないですが、薬事に関して社内の専門家になれたらと思います。法令違反で操業停止になるなどリスクもあるので、そうならないように日々勉強したいと思います。
松永薬剤師としてのキャリア…難しいですよね…。ただ、薬剤師は広い分野で活用できる資格ですので、いろいろな場所で活躍できると考えています。薬剤師の資格を活用して、衛生管理者、公害防止管理者水質第一種を取得しています。
土井薬剤師って、いろいろ資格が取れますよね。近行さんはどうですか?
近行まだ明確な目標はありませんが、最終的には管理者側として医薬品、化成品の製造に携わることができればと考えています。 薬を作っていく過程においても、薬剤師として別方向からのアプローチができるのはいいところかなと思います。
QUESTION 07
水野結婚をしてるので、家族と過ごしています。あとは、銚子に来てから始めたサーフィンを通年でやっています。
土井通年ですか?
水野冬もやっています。みんなはスノーボードとかに行っているのに、冬に一人で海に入って(笑)。周りから「何になりたいの?」みたいなことを言われました(笑)。今は昔ほどはやらず、子供と遊んだりしています。
松永私も子供が2人いるので、遊んだり、旅行をしたり。庭いじりをしたり。
近行私は まだ子供がいないので、妻と二人で出掛けることがほとんどですね。銚子や近隣で行ったことのないスポットや飲食店をめぐることが多いです。おしゃれなカフェめぐりは最近よくやってることですね。
土井へえ~。楽しそう。私は夫が東京に住んでいるので、週末は東京で過ごすことが多いです。銚子にいる時は家でゆっくりしたり、同期たちと飲みに行ったりすることもあります。それ以外は散歩したり。犬吠埼とかも頑張れば歩いていけるので。
近行20~30分くらいですよね。
QUESTION 08
水野大企業ではないし、開発→製造→販売までまとまっているところがヤマサ醤油の魅力なのかなと。いろいろな経験が出来るところだと思います。
松永そうですね。いろいろなことがやりたいという薬剤師の人が入社しても問題ないというか、ウェルカムな感じかと思います。薬剤師の資格が必要な仕事だけではなく、幅広い仕事が経験できる職場だと思います。
土井実際、薬剤師の人が各部署に散らばってますよね。
近行私はお二人が言っていたことと同じになるのですが、イメージとしては1つのことだけに集中しているというより、いろんなことを学んで、総合的に モノづくりができるところがヤマサ醤油のいいところかなと思います。それと、医療の主軸ともいえる医薬品原薬の開発の場で、自身のスキルを十分に生かしていくことのできる環境と将来性があるのは大きな魅力です。
土井ヤマサ醤油は職種別採用からも分かるように、社員のバックグラウンドや意思を尊重する傾向が強いです。薬剤師という背景を持ちながら、ヤマサ醤油のような企業で活躍したい、という思いをもって入社する私たちに応えてくれる会社だと思います。私自身、仕事では薬剤師を意識することはなかったのですが、根底のところに薬学ベースの考え方があって、薬学を生かして仕事をしたいという気持ちがあることを社会に出てから感じるところが多くて。そういう自分の意志みたいなのものを会社側が汲み取ってくれて、適切な部署に配属移動したいという時も、異動をさせてくれるんじゃないかなと。自分の気持ち次第で、会社が支援をしてくれるような印象があります。
QUESTION 09
松永かなり昔の話になりますが(笑)。過去問を中心にひたすら問題を解いていました。家では集中力が続かない性格ですので大学の図書館に通って勉強していました。
水野私も過去問を何回も解きました。あとは体調管理には気を付けました。
近行医薬品は生体内の機構を利用して作られていることがほとんどですので、生物学、薬物治療学、薬理学、薬剤学を関連付けながら学ぶと頭に入りやすかったです。
土井私も“薬動+薬理+薬治+実務”みたいな感じで、科目を横断的に勉強することで、症例や薬に対して幅広い知識 が深まるようにしていました。