事業領域

医薬・化成品事業

調味料から医薬品へ

ヤマサは醤油の製造で培ってきたバイオテクノロジーの技術を発展させ、核酸(RNA)の酵素分解によるヌクレオチドの製造法(リボ核酸分解法)を開発し、1961年に核酸系のうま味調味料の製造販売を開始しました。核酸分解で得られたヌクレオチドを酵素合成や化学合成によってさまざまな種類の核酸関連化合物を製造する技術を開発し、1970年代より医薬品原薬や医薬品原料の製造販売を開始しました。また、一方でヌクレオチドやヌクレオシドを食品添加物や化粧品の原料として供給して事業を拡大してきました。1997年に医薬・化成品事業部を設立し、現在も幅広い領域に向けて核酸関連化合物を生産しています。さらには、1970年代から創薬研究を精力的に行い、独自に創製した新規薬効成分をもとに製薬会社と共同で開発を進め、1992年には経口抗がん剤、1995年には成人T細胞白血病及びヘアリーセル白血病の治療薬の上市に成功しました。医薬品の原料として使用されている例としては、新型コロナウィルスのmRNAワクチン合成用の重要原料であるシュードウリジンがあります。テレビや新聞などで報道され最近注目されるようになりましたが、ヤマサでは1980年代から研究用試薬または医薬品原料としてシュードウリジンを製造販売しており、今回も早くから生産能力を増強することで世界中のニーズに応えています。将来のパンデミックに備え、更なる生産体制の整備を進めています。その他にもヌクレオチドの機能性についての研究を行っており、新たな機能性食品素材や化粧品の原料としての開発を進めていく予定です。ヤマサはヌクレオチドの供給において世界最大レベルであり、核酸の分野における研究開発、生産技術、品質は世界でもトップクラスという定評を頂いています。

核酸医薬へ

核酸関連化合物の多くは有用な薬理作用や生理作用を示し、これまでに修飾されたヌクレオチドやヌクレオシドは抗がん剤や抗ウィルス剤などの医薬品の原薬(API)として使用されています。近年ではヌクレオチドが20から30塩基程繋がったオリゴ核酸医薬、及び高分子のmRNA医薬が注目されてきています。ヤマサもこれら核酸医薬の領域にも進出しています。オリゴ核酸は修飾されたヌクレオチドであるアミダイトを用いた化学合成によって製造されますが、ヤマサではGMP対応の新工場で特殊なアミダイトからオリゴ核酸までの一貫製造を行います。また、mRNA医薬は鋳型DNAとヌクレオシドトリリン酸(NTP)を原料に使って酵素合成により製造されますが、ヤマサにおいてもこのようなmRNA医薬の製造技術開発も進めております。これら核酸医薬の分野の技術は日進月歩で情報収集が重要なカギでもあるため、国内外のアカデミアやベンチャー企業などとタイアップをし、開発から治験薬・原薬の製造へ展開していく予定です。

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