人々の生活、歴史や文化に深く関わる仕事。
心に届く柔軟な発想、失敗を恐れない情熱があれば、
世の中にインパクトを与えられるチャンスは十分あります。
代表取締役社長石橋 直幸
若い人に期待したいことを考えた時、私には思い浮かぶ社員がいます。それは味噌の販売で成果を上げた社員です。グループ会社の「サンジルシ醸造」の豆味噌をヤマサでも拡販しようと、営業に力を入れた時期がありました。しかし、醤油と違って味噌は不慣れです。豆味噌の社内勉強会もしましたが苦戦が続きました。そんな中、売上を伸ばしている社員がいたのです。
一体どんな仕事をしているのか。私は問いかけました。すると、彼はおにぎりと味噌汁を作っているというのです。飲食店のオーナーシェフなどは朝、生鮮や雑貨を販売する市場問屋に買付をしに来ます。そのオーナーシェフへ彼は自分が握ったおにぎりを「おはようございます」と振る舞うのです。そして、「一緒にどうですか」とサンジルシの味噌で作った味噌汁も渡す。「美味しいね。この味噌は何?」と言われれば彼のペースです。「中京地区で一番売れている味噌です。こんな料理にも合います。」と説明すると味噌はどんどん売れたそうです。
私はこの話を聞いた時に仕事の原点を感じました。どんなに凝った提案書を作っても伝わらなければ意味がありません。この商品を食べて元気になって、笑顔になってほしい。お客さまに喜んで頂ける商品を提供したい。それこそが私達が商品を通じて提供したい価値なのです。
心に響く仕事は机上だけではできません。
どうしたら相手の気持ちを動かせるか。
振り向かせることが出来るか。
柔軟な発想を持って行動できる人と一緒に仕事をしたいと思っています。
求める人材でいえば、もう1人お話ししたい社員がいます。
「鮮度の一滴」は1人の社員の情熱から生まれた商品です。醤油は空気に触れることで酸化が進み、色が濃くなって香りや味が少しずつ落ちていきます。以前はそれは仕方のないこととして課題にもなっていませんでした。しかし、彼はずっと思っていたのです。ヤマサの出来たての醤油は香りが良く、色はよく澄み、赤みがかっている。世の中の人に知ってもらいたい。広めたいと。
そんな時、あるベンチャー企業が鮮度を保持できる容器の技術提案を持ち込んできました。このチャンスを彼は逃しませんでした。あまりに斬新な商品構想に、クリアしなければいけないハードルは山ほどありましたが、彼の情熱は社内の共感を呼びました。開発、工場、営業の各部門が一体となり、執念で数年かけて結実させたのです。結果、醤油に鮮度という新しい価値を世の中に提示し、会社はもちろん、業界そのものを変えました。
失敗を恐れれば成功もありません。仕方ないとあきらめるのではなく、何とかならないか、どうしたらいいかと考える。そういう情熱をもって仕事をしてほしいと思います。
ヤマサが扱う調味料は人々の生活はもちろん、歴史や文化と非常に密接しています。電子デバイスに使われる先端技術のように世の中をガラッと変えることはないものの、水が染み渡るようにじっくりとその地に浸透させることが出来る産業です。最近は海外でも醤油が「ソイソース」として親しまれ、その国の食文化や歴史と絡み合って新しい使い方が広まっています。和食に至ってはユネスコ無形文化遺産に登録されました。これらはヤマサをはじめ、業界で数十年かけて海外への普及活動を行ってきたことと無縁ではありません。カレーやラーメンが今や日本食と言われ、カリフォルニアロールなど寿司が様々なアレンジで広がっているように、世界の食文化は変化しています。こうした食文化を支えていく魅力や可能性がヤマサの仕事にはあります。
国内でも調味料を使用するシーンは変化しています。一昔前は醤油や削り節から調理をしていましたが、今はつゆやタレから調理をすることが増えています。また、少子高齢化、女性の社会進出、食品技術の発達により弁当や総菜など中食市場が成長しており、出来上がったものを食べることが多くなっています。特にコンビニ弁当は食品業界のF1と言われ、様々な食品関連企業が最先端の技術を提案しています。そうした中でヤマサは何が出来るのか。スピード感、高度な技術、マーケティング力に磨きをかけるべく、数年前に特注オーダーを専門に扱う事業部を立ち上げました。あと必要なのは、ヤマサの強みでもある柔軟な発想と情熱でしょう。
ヤマサには活躍できるフィールドや世の中にインパクトを与えられるチャンスがあります。自分たちで考え、進めていける風土があります。面白いと感じたあなたに、是非チャレンジして頂きたいと思っています。